秒針は気忙しく動いていたが、長針の方はさっき見た時から1分も経っていない。

部屋に行くまでの30分がとてつもなく長い時間に感じられた。

「何やってんだよ、オレは……」

本をぽんと手前のテーブルに放り投げると、両手で顔を覆い、上下に強くこする。

こうすると脳まで酸素が行き渡り、落ち着くような気がする。