ハルナは目を見開くと、手に持っていたスプーンをカラーンと皿の上に落とす。

オレはポケットに入っていた2枚のカードをテーブルの上に置いくと、呆然としているハルナの目の前に滑らせた。

「この番号の部屋を予約してある。

お前は先に行って休んでろよ。

30分したらオレも行く。


俺の分の部屋のキーカードも渡しておくから。

さっきの答えがOKなら、中から鍵を開けてくれ。

もし、ダメだったら……」


……考えたくも無い回答だな。

カードを差し出した手が小刻みに震える……。

それでも、俺は勝ち目のない賭けに出たいと思った。

「もし、ダメなら、絶対に鍵を開けるな。

オレは今夜、車の中で寝るから。

明日の朝には部屋に迎えに行く」

それだけ言うと、ドロドロに溶けたアイスクリームをじっと見つめているハルナを置いてレストランを後にした。