オレはハルナとオバサンがトイレと言って中座した時、オフクロの肘を突付き、小声で話し掛ける。

「オフクロ、いくらなんでも487万円は高すぎだって!」

「安いくらいよ。3月と言ったら急過ぎてどこも埋まってるの。

夜の挙式でも出来るだけマシよ。男だったら文句言わないの!」

「でも……それに、オフクロに悪いよ」

「何が?」

「金、出させるなんてさ……」

「いつ出すっていったの」

「へ?今……」

「出世払いに決まってるでしょー!しっかり勉強して、とっとといい医者になって、老後の資金、よろしくね!」





オレはオフクロの底ヂカラを見たような気がした。