同じ大学の学部に通っていながら、オレ達は大学で会うことがあまりなかったから、声を掛けられた時は少し驚いた。

「リョーコ、珍しいな。大学で会うなんて……」

「そりゃ、そうよ。会うの避けてたもん」

彼女は殊更大きな声でおどけてみせると、オレの早足に合わせ大股で颯爽と歩き、向かい風に絡む前髪を、時折、笑いながら掻き揚げる。