1度目の前に現れてからの笠原は遠慮が無くなった。


玄関のドアを壊して中に入ろうとしたり


気味が悪い贈り物を送りつけたり


ゴミを荒らしたり

追いかけ回したり


駅でずーっと待ち伏せしてたり。

もちろん、地域の人も立ち上がってくれてパトロールを交代でしてくれた。
パトカーもしょっちゅう巡回してくれたし、危ない時はウチに避難させた。
舞も家事が手につかないほど天を心配してた。
親父とお袋、天の両親もあの時ばかりはおちゃらけた態度は一切見せず
全力で天を守ってた。



こんな時、健夫がいればいつも側にいて天を守ってくれると何度思ったことか。
健夫が留学中であることに何度イライラしたことか。






パトロールが強化されて、警察からの厳重注意で天になかなか近付けなくなった笠原は



ある日、近所の公園に連れ込んで天にナイフを向けたんだ。


「これで、君は僕のもの」という恐ろしい言葉とともに。



幸い、ナイフを交わした際に
腕に数針縫うような傷が出来たものの
巡回中の警察官に取り押さえられ現行犯逮捕された。



ただ、笠原は未成年だったために執行猶予付きの保護観察処分で済んだ。



そして保護観察が二十歳を迎えたために終了になった途端、姿をくらました。




絶対に何か嫌なことがおこる。




天を守らなくては。


血のつながりは無いけど
天が産声を上げた時からずーっと一緒にいて


一緒に育ったようなものだから。


俺のかわいいかわいい妹の天。


健夫、一緒に天を助けよう。


千里ちゃん、いつも天の側にいてくれてありがとうな。



ーー明夫サイドおわりーー