私は健夫を

ギューーーーーッ!!
と抱きしめ返した


「健夫?? 確かに私は明夫くんの事が好きだったし、結婚した時なんて本当にショックだった。
でもさっき、明夫くんから言われた一言でなんとなくわかったの。
私の明夫くんに対する想いって、かっこ良くて優しい大好きなお兄ちゃんだったみたい。私一人っ子だし。
だってね、健夫といる時みたいに胸の中がカーッと熱くなってドキドキしたりはしなかったの。
結婚式の時も大好きなお兄ちゃんを取られたと思ったんだと思う。
今でも明夫くんの事は大好き。
でも舞さんも大好き。
好きな人を奪って結婚した人と
私は仲良く出来ないと思う。
そんなお人好しじゃないから。
私が自分からこういうことしたいと思ったのは健夫が初めてだよ」


と言って私は健夫の手を振りほどいて
健夫の顔を両手で包み込むようにして
おもいっきり背伸びして
健夫にキスをした。


健夫はびっくりして目を見開いていたけど、私は構わず何度も口付けをした。


そして
「まだ不安??
私の心も身体も健夫と共にあるよ?
安心できるまで何度も口にするよ?

ごめんね。

私がこんなんだから健夫は不安だよね?
感情なんか無い鉄の塊だもんね。
でもね、
私の心の中だってちゃーんと活動してるから安心して」


そしたら健夫がポロポロ涙を流しはじめた。



え?


え?



どうしよう……


あああんっ!!

どうして私はこんなに上手くいかないんだろう……


いつもそう。
向き合おうと決めてしっかり向き合おうと思ってるのに相手に不安しかもたらさない!!


でも


でも



あんただけは傷つけたくないのよ?!