「まあ、とりあえず聞け。」


「分かった。」


橘は落ち着きがない。


璃希は静かに聞いている。


静かにというか興味津々みたいだ。


「"関原 仁"を見た瞬間見えたんだ。」


「何を見たの!?」


本当に落ち着きがない。


「橘はあいつを見た瞬間涙が溢れたって言ってたけど、それには意味があるんだ。」


璃希は静かに聞いた。


「その意味は何?」


「江戸時代の頃。男と女がいた。二人はすごく愛し合っていた。でも…」


「でも?」


「女の方は身分が高く、男の方が低かった。絶対に結ばれてはいけない二人。でも、愛し合った。」


「会うのも人目を気にしながら。見つかったらどうなるかわからないからね。」


「なんで普通に会えないの?」


なんてバカなんだ…


橘よ…


「身分の高い人はそれなりの人とくっつかなくちゃダメなんだよ。」


璃希! 助かった!


「なるほど。」


橘は納得したらしい。


俺は話を続けた。