「そうだ。その訓練の成果はあったのか? 捨吉は、出来る限り耐えられるように仕込んだようだが」

 あきの慌てっぷりなど全く気にせず、さらに真砂は追い打ちをかける。
 最早あきは、顔から火が出んばかりに真っ赤になり、汗をだらだら流していた。

「……お前さん、捨吉と良い仲になっておったのか?」

「ちょちょ、長老~~……」

 長老の突っ込みに、あきは我慢できなくなって泣き出した。

「何だ、どうした。何故泣くのだ」

 また真砂が困ったように言う。
 自分が追い込んだことなど、考えもしない。
 長老が苦笑いしながら、再びあきの頭を撫でた。

「ほほほ。いや、少しからかってしまった。何、別に悪いことではない。女技も、好いた男に仕込まれるほうが、飲み込みも早いじゃろうしな。あ奴なら、きちんと丁寧に教えてくれるじゃろ」

 あきは赤い顔のまま、黙っている。
 確かにあきは、捨吉を慕っている。

 だが、捨吉と何を約束したわけでもない。
 捨吉から、特に甘やかな言葉を貰ったわけではないのだ。

 言ってしまえば、捨吉の態度は、他の女子に対するものと、あきに対するものとはほぼ一緒。
 捨吉の心がわからないので、『良い仲』になっている、というわけでもないのだ。