「使い物にならないほど、魅力ないですか?」

 ぽろりとあきの目から涙が落ちる。
 ますます真砂は眉間に皺を刻んだ。

「何を言ってる? そんな話をしていたか?」

「頭領は、あたしを抱いても満足しないってのはわかります。でも、頭領は乱破だし、慣れてらっしゃるからってのも、あるじゃないですか。普通の男から見ても、あたしは満足できないような女ですか?」

 ぼろぼろと涙をこぼしながら言うあきに、真砂は呆気にとられる。
 一体どこからこんな話になったのだろうと記憶を辿ってみても、真砂の思考回路ではわからない。

「お前が下手だとか、言った覚えはないんだが……」

 ちょっと困ったように、真砂が言う。
 そして、助けを求めるように、長老を見た。
 長老はそれに小さく頷くと、つい、とあきの頭に手を置いた。

「落ち着きなさい。何をそんなに気にしておる。此度のことは、お前にとっては初めての指令じゃし、女技を実戦で使うのも初めてじゃ。そうそう上手いこと行かなくても、仕方ないぞ?」

「だって……。女技も呆れるほど下手くそで、武芸も大して出来ないなんて、役立たずでしかないじゃないですか」

 俯いて言うあきに、真砂は相変わらず困ったように首を傾げる。

「呆れるほど下手くそ……だとは思わんが」