「頭領。お千代ですがね」

 里に帰ってきて五日。
 母屋で真砂は、長老と話をしていた。

「診たところ、内部はやはり、酷い有様だったようで。しばらくは、動くのも辛いでしょうな」

「そうか」

 里の女子で、それなりの年齢の者は、出産に関する知識もある。
 里の女子が孕めば、そういった出産経験のある女子が、産婆の役割もこなすのだ。

 この数をこなしていけば、女子の身体にも詳しくなる。
 里にはそういった、女子の身体に詳しい老婆が幾人かいた。

 家老の屋敷で非道な扱いを受けた千代とあきは、その老婆の検診を受けたのだった。

「あきのほうは、炎症が主……。でも、さほど奥までの被害はないようです。問題は千代のほうですなぁ」

「あいつは相当無理をしただろうからな。作戦を決行するまでにも、随分いたぶられたようだし」

 ふぅ、と息をつき、真砂は壁にもたれかかった。

「女技は、出来るだけ使わんようにせんといかんな」

 長老が、顔を上げた。
 じ、と真砂を見る。

「ただでさえ、乱破の女子は孕みにくい。この上女技で、今回のように身体を壊すようなことになれば、ますます一党の人数は減っていくだろう」

 そう言う真砂を、しばし見つめた後、長老は、こくこくと頷いた。
 何故か嬉しそうだ。