真砂は顎を撫でた。
 千代もあきも、相手にしたことはあるが、抱く女子に特に思い入れもない。
 どうだったか、と思い返そうとしても、よく覚えていない。

「気に入られてるんなら、それに越したことはないが。だがそのわりに、任務が遅々として進んでないのは問題だな。気に入られた意味がないではないか」

 捨吉の言いたいことが今一つわからず、真砂は渋い顔をした。
 まさかとは思うが、捨吉の言う『落ちやすい』というのは、相手方についてしまう、という意味なのか?

 が、捨吉は、さらにずいっと真砂のほうに身を乗り出した。

「だから、ちょっと心配なんです。簡単に落ちないよう、訓練はしましたが、何分まだ未熟です。あきが落ちる一点に気付かれれば、人によってはそこばかりを責めるでしょう。あの感度の良さでは、そんなこと立て続けにされたら壊れてしまいます」

 言い募る捨吉を、真砂は相変わらず渋い顔で見た。

「つまり、あきは女技に弱い、ということか」

「う……まぁ、あまり上手い使い手になれる器ではない……と思います」

 あからさまに言い過ぎた、と、捨吉は赤くなった。
 これでは己が随分あきを仕込んだかのようだ。

 だが真砂はそんなことには気を留めず、ふぅ、と息をついた。