「まぁ、これだけじゃ何とも判断しかねるだろうがな。人がいるかどうかは、実際内部に入る前にわかることだ。……捨吉?」

 ふと真砂は、先程からずっと黙っている捨吉を見た。
 捨吉は、じっと目の前の炎を睨んだまま、身じろぎもしない。

「どうした?」

「あ、いえ……」

 我に返ったように言い、捨吉は頭を振った。

「何か気になるのか? ぼんやりしていたら命取りだぞ」

 少し厳しく言う真砂に、こくりと頷き、だが少し考えて、捨吉は顔を上げた。

「あの、頭領。あきは、大丈夫でしょうか」

 真砂の片眉が、僅かに上がる。
 捨吉は、少し膝を進めた。

「あの。俺が思うに、あきのほうが気に入られてるんじゃないかと」

「……何故だ?」

「確かに千代姐さんは、女技にかけては一流ですけど、それなりに歳のいった男がずっと相手をするには、いささか荷が重いかと」

「そうか?」

「あきは、他の女子よりも落ちやすいです。ああいう子のほうが、征服欲を十分満たしましょう」