「お前が一番、すばしっこそうだ。身も軽いだろう。以前よりは、周りを注意するようになっただろうな?」

「はい! 二度と前のような失敗は致しません!」

 意気込んで言う羽月を、真砂はじっと見た。
 まだ幼いが、確かに前の指令に失敗してからは、自分なりに努力したようだ。
 技はまだ未熟な部分が多いが、以前のように、周りを見ないで先走るようなことはなくなった。

 ちらりと、真砂は捨吉を見た。

「大分、出来るようになりましたよ。身の軽さは、多分一番です。小柄な分、狭いところでも他の者より素早く動けます」

 捨吉の説明に頷き、真砂は視線を羽月に戻した。

「ではお前も連れて行こう。初めの大まかな探索は、お前に頼む」

「は、はいっ! お任せください!!」

 真砂直々に指名され、羽月は感動に打ち震えんばかりに瞳を輝かせた。
 元気よく頷くと、再びがばっと頭を下げる。

「では夜半過ぎ……そうだな、丑の刻(午前二時頃)ぐらいに出立する。それまで仮眠しておけよ」

「「はいっ」」

 頭を下げる二人を下がらせ、真砂はいつものように部屋を出て行った。