真砂は木の上にいた。
この土地を里に決めたときに見つけた、桜の大木だ。
母屋とは結構離れている、南の端っこである。
屋敷は最終的には、この辺りまで広がるだろう。
ここはかなり外れになるだろうが、この大木の前の部屋を自分の家にしよう、と決めていた。
夕日はもう沈み、辺りは暗くなりつつある。
輝きだした星をぼんやりと眺めながら、真砂は酒を飲んだ。
「真砂」
不意にかけられた声に下を見ると、清五郎が木の根元に立って見上げている。
そして軽く手を振ると、とん、と地を蹴って枝に掴まり、真砂の傍まで登ってきた。
「真砂はここが好きだな。腕の具合はどうなんだ?」
言いつつ、自分も腰に付けてきた竹筒から酒を飲む。
「大分マシだ。まだまだ完全ではないが」
「ま、そうだろうな。でも、こんなところまで登れるんだ。片手だってこと忘れそうだぜ」
真砂がいつもいるのは、結構な高さの枝なのだ。
そこからは、屋敷の様子はもちろん、遥か遠くの山々まで見渡せる。
この土地を里に決めたときに見つけた、桜の大木だ。
母屋とは結構離れている、南の端っこである。
屋敷は最終的には、この辺りまで広がるだろう。
ここはかなり外れになるだろうが、この大木の前の部屋を自分の家にしよう、と決めていた。
夕日はもう沈み、辺りは暗くなりつつある。
輝きだした星をぼんやりと眺めながら、真砂は酒を飲んだ。
「真砂」
不意にかけられた声に下を見ると、清五郎が木の根元に立って見上げている。
そして軽く手を振ると、とん、と地を蹴って枝に掴まり、真砂の傍まで登ってきた。
「真砂はここが好きだな。腕の具合はどうなんだ?」
言いつつ、自分も腰に付けてきた竹筒から酒を飲む。
「大分マシだ。まだまだ完全ではないが」
「ま、そうだろうな。でも、こんなところまで登れるんだ。片手だってこと忘れそうだぜ」
真砂がいつもいるのは、結構な高さの枝なのだ。
そこからは、屋敷の様子はもちろん、遥か遠くの山々まで見渡せる。