その態度に、あきは気付かれないように、笑いを噛み殺した。
 真砂から貰ったものだから、人に渡したくないのだ。

 千代も案外可愛いところがある、と思ったのだが、年少のあきからそんな風に言われると、千代のことだ、烈火の如く怒るだろう。
 それでもそういうところを見ると、千代に親しみを覚える。
 女技に長けているとはいえ、千代だってまだ十八だ。

「ねぇ千代姐さん。姐さんはどうして、そんなに閨が上手いんですか?」

 あきの問いに、千代が妙な顔をした。

「何言ってんのさ。見たこともないくせに」

「見たことなくたって、千代姐さんが一番上手だってことは皆知ってます。だからこそ、頭領だって女技に関しては、千代姐さんを頼りにするんだし」

 ふふ、と笑うと、千代は膝を崩した。
 その仕草一つとっても色っぽい。

「どうやったら、そんなに色っぽく振る舞えるんだろう。あたしも、出来るようになるのかな」

 呟くように言うあきを、千代はじぃっと見つめた。

「無理して背伸びしなくたっていいさ。あんたはまだ、狩りを終えて一年ほどだろ。私だって初めから上手かったわけじゃない」

「そう……でしょうけど」