「そうでしょ? 何たって頭領だもの。そう簡単にやられないわよ」

 自慢げに、あきが言う。
 以前にも思ったことだが、この党の者は、本当に真砂に心酔している。

 改めて、真砂という存在の凄さを感じ、同時にその男が命懸けで迎えに来てくれたことに赤くなる。

「わ、わらわ、別に何の取り柄もないのに。千代みたいに美人でもないし。真砂、ほんとにわらわのこと、好いてくれてるのかな。ほんとにわらわのために来てくれたのかな」

「当ったり前じゃない!!」

 赤くなってごにょごにょ言う深成に、いきなりあきが、ぼん、と布団を叩いた。
 あまりに激しく叩いたので、もわ、と埃が舞う。

「あたしだって、頭領の怪我の真相を聞く前から、頭領はあの傷に並々ならぬ想い入れがあるって気付いてたもの。それが、捨吉さんに事の真相を聞いて、合点がいったわ。あの頭領が、それこそ命懸けで守ってくれたのよ。あたしや千代姐さんじゃ、あっさり捨てられてたわ。深成ちゃんだからよ。今でこそ頭領、皆のことも考えてくださるけど、多分それも、深成ちゃんのことがあったからよ。深成ちゃんを失って初めて、人を想うっていう気持ちがわかったんじゃないかしら」

「そ、そう……かな。真砂がわらわを助けてくれたのは、単に、真砂も実は優しいんじゃないかと思っただけで」