「ほほ。不安じゃろうが、しばしの辛抱じゃ。すぐに一緒になれるから安心おし」

 穏やかに言い、軽く深成の頭を撫でる。

「そうよ。今は大事な時期だから。はい、こっちよ」

 あきが深成の腕を取って、隣の部屋に連れて行く。
 母屋のすぐ横の、小さい局がいくつか集まっているうちの一つだ。

「ここは独りの者のための寝間よ。初めは皆母屋で一緒だったんだけど、大きくなってきたら、やっぱりいつも皆と一緒じゃ都合の悪いこともあるし。基本的に寝るだけの部屋だから狭いけど、一応あたしの部屋なの」

 説明しつつ、あきがいそいそと布団を敷く。
 深成の分もあるようだ。

「しばらくは、ここで一緒に寝ることになるわ。千代姐さんと仲良しなんだったら、千代姐さんのところにしようかって話もあったんだけど、あそこは家族がいるしね」

「わらわ、千代には嫌われてるから」

 しゅん、と言う深成に、あら、とあきは顔を向けた。

「頭領に好かれてるから?」

 ずばりと言われ、深成は赤くなった。
 あきは面白そうに、布団に寝そべりながら深成を見上げる。

「でもね、頭領が深成ちゃんを想ってるのは、かなり前からわかってたわ」

「え?」

 とりあえず寝ようよ、とあきに促され、深成もごそごそと布団に入った。