真っ赤な夕日が辺りを染める頃、真砂と別れたところで蹲っていた捨吉が、はっと顔を上げた。
 同時に、傍の木立から、清五郎が現れる。

「はらはらしましたよぅ。間に合わないかと思った」

「お前たちが速すぎたんだ。全く、これから一戦交えないといかんというのに、真砂も飛ばし過ぎなんだよ」

 ぶつぶつと言う清五郎は、渋い顔で九度山を見つめた。

 真砂は一人で行くと言って聞かなかったが、やはり頭領を失うわけにはいかない。
 真砂はただの頭領ではないのだ。
 あれほどの資質の持ち主、そうは現れないだろう。

 それに今は、党全体の存続も危ぶまれている。
 ここで真砂を失うわけにはいかないのだ。

 その想いは、党の全員の想いである。
 故に、真砂には内緒で、清五郎と捨吉が後方支援につくことになったのだ。