「そうだな。変に事を荒立てるのもよろしくないだろう。出来れば誰にも気付かれないほうがいいんだが……。まぁそれは無理だな」

 言いつつ、真砂は腰の懐剣に手をやった。

「一戦交えることは、避けられんだろう」

 単なる番兵はともかく、十勇士に気付かれずに事を運べるとは思えない。

「あとは十勇士全員が出張って来ないうちに、あいつを攫えるか……」

 真砂も、十勇士を一人で相手に出来るとは思っていない。
 万全の態勢でも難しいのに、今は片腕なのだ。
 いかに真砂が強くとも、選りすぐりの十勇士全員を相手にしては、勝算はない。

「頭領。やっぱり、俺も行きますよ」

 真砂の強さに心酔している捨吉だとて、それぐらいわかっている。
 だからこそ、むざむざ真砂を危険に晒すわけにはいかないのだ。

 だが。