「真田の関係だからってのも、あるんだろうけどな」

 里が壊滅に追い込まれたことも、それが何故なのかも、矢次郎は知っている。
 そこから今回の情報を真砂たちにも知らせたのだろう。

「ついでにちょいと、買い出しもするか。本当に買い物があったほうが、何かあったときにも怪しまれないし。誰を連れて行くかな」

 清五郎が言いながら、庭のほうへ目をやった。
 少し離れたところで、女たちが洗い物や畑仕事をしている。

「あきと、お千代さんの母君に、ご同行願うかな」

「じゃあ俺は、羽月と九度山のほうを探りますよ」

 捨吉が、さっと立ち上がって回廊に出る。
 そして、念を押すように、真砂を振り返った。

「ちゃんとしっかり探ってきますから、頭領はしばらく大人しくしておいてくださいよ。深成を攫うにも、頭領が万全の態勢でないと失敗するかもなんですから」

 ちょっと真砂が、渋い顔をした。

「お前こそ、あそこにゃ十勇士がいるんだぞ。浮かれてドジ踏むなよ」