元々真砂が女子を抱くのは、欲望処理なだけだし、自分だってその他の女子と何ら変わらぬ態度を取られていた。
 それでも良かったのだが、最近は真砂の態度が変わったのだ。

 皆のことを考えるようになった分、己の欲望のためだけに女子を抱くこともしなくなった。
 故に、千代を抱くことも滅多になくなったわけだが。

---真砂様は、あの娘を想っている---

 あの戦の後、初めて真砂に抱かれたときに、真砂の変化に気付いた。
 自分本位でかなり手荒だった行為が僅かに鳴りを潜め、だが終始心ここにあらず、という感じだった。

 いくら千代がねだり倒して相手をして貰ったとはいえ、それはいつものことだし、いざ行為に及んだときは、ちゃんと千代を見てくれていた。

 それが、戦の後は千代を抱いていても、千代を見ていないのだ。
 完全に心を閉ざしている、とさえ感じる。

 そしてそうなった理由は、一つしか思い当たらない。
 真砂が深成をどの程度想っているのかはわからないが、少なくとも深成のことがあるから、真砂は変わったのだ。
 それは確実だ。

「お千代は綺麗だし、その気になればいつでも出来よう」

「おや、では清五郎様が、千代を貰ってくれますか?」

 セツが冗談めかして言う。
 清五郎も、笑って軽く頷いた。

「ああ。お千代さえ良ければな」

「まぁ、清五郎様は」

 いかにも冗談ぽく言う清五郎に、千代は少し頬を膨らませた。