眩しい光に目を開ける。
目に映るのは、幼少時代の私とまだ元気な母。
そして、見知らぬ男。
ここは母とよく来た公園だ。
なんて懐かしい記憶だろう。
花が咲き、暖かい日差しに包まれている。
三人仲良く手をつなぎ、遊具で遊んでいてなんとも微笑ましい。
“楽しいねー、お母さん。お父さん。”
お父さん?
顔もなにも覚えていない。
小さなときに、離婚した父。
離婚した理由は、私は知らない。
“そうね、お弁当作ってきたから、一緒に食べましょうか。”
“うん!”
嬉しそうに、満面の笑みを見せる私。
ぼんやりと覚えていた記憶が夢に出る。
最近はよくあることだ。
“おお、うまそうだな。母さんは料理上手だから。奈緒、そんなに急いで食べたら喉詰まらせるぞ?”
優しくて、何処か安心する低い声。
でも、顔が見えない。
こちらを向いているはずなのに、顔にモザイクがかかっているようだ。
私の中では、父の記憶はほとんど覚えていない。
“ふふふ、口にいっぱいご飯粒ついてるわよ?”
こんなに、平凡で優しい家族なのに、どうして離婚したんだろう。
私に知る術は無いのかもしれない。
それでも、今も離婚しないで三人で暮らしていたら、どれだけ幸せだったのだろう。
そう考えて、瞬きをしたら先ほどとは違う光景を見ていた。