ガチャ__________
「…ただいま。」
寝ている母を起こさないよう、そーっと扉を開け、戸締りをする。
店長がくれた弁当を食べるため、袋から取り出す。
レンジで温めて、部屋に行くと母が寝息をたてている。
机の上には、夕飯が半分程残してある。
食べられなかったのかな。
体が心配だが、母が食べ物を全て食べていることはまずない。
食欲もなくなりつつあるのだ。
「あっつ!」
弁当を温めすぎたようだ。
熱くて声を出してしまった。
「…あら、奈緒。おかえり。お弁当もらったの?」
声で母が起きてしまった。
「あっ、お母さんごめん!びっくりしたよね?」
「大丈夫よ。外寒かったでしょう?」
「うん、ちょっとだけね。ご飯食べて片付けするから。気持ち悪くない?」
「ええ、今日は吐かなかったわ。」
「そう。」
無言の時間が流れる。
テレビもラジオもつけていないから、息苦しい空気が漂う。
コンビニ弁当も食べ終わったので、片付けを始める。
机から食べ残しのある皿をもって行くと、母が
「ごめんね、今日も奈緒の作ってくれたご飯食べられなかったわ。」
と、申し訳なさそうにこちらをみている。
「大丈夫。無理して食べて、吐いたらまた体調崩すでしょ?それに、一口でも食べてくれたら私は嬉しいよ。だから謝らないで?」
「そうね、心配かけてごめんなさいね。」
「いいんだよ。ほら、もう寝なきゃ。十二時すぎてるから。」
「ええ、おやすみ。」
そういい、横になった母を見て、片付けを始める。
残ったおかずは明日のお弁当に入れよう。
結局片付けが終わったのは夜中の一時ごろだった。
明日も学校だ。起きれるだろうか。
そんな心配をして、布団を被る。
数分して、私の意識は闇に吸い込まれて行った。