「いらっしゃいませー。」




近所のコンビニで働いて生活費を稼ぐ。
他にも掛け持ちをして、ギリギリ生活をしている。

店長には、よくしてもらって、母の治療費を払ってもらったり、お世話になっている。




「奈緒ちゃん、お母さんどう?」




休憩時間に店長が話しかけて来てくれた。




「あっ、店長。こんばんは。母は相変わらずです。」




「そうかー、奈緒ちゃんも気をつけなよ?掛け持ちだなんて、疲れるだろうし。それに」



「お気遣いありがとうございます。でもこうでもしないと、暮らしていけないので。」




「そうだなぁ。でも、程々にしときなよ?体壊したら、元も子もないからね。」




「はい。ありがとうございます。」




「じゃあ頑張ってね。」




優しい笑みを浮かべて、店の奥に入って行った。
店長に心配ばかりかけられない。

わかってはいるけど、頼ってしまうんだ。

人間の弱みというものは、どうしても隠しきれないのだと実感する。






「商品の確認しなきゃな…あとちょっとだし、頑張ろう。」





仕事を終えて、家に帰るとき、店長がカップ麺と弁当をくれた。
夜ご飯にしなさい、と言って。

早く家に帰らなければ。母が待っている。

自転車に乗って、少し離れた家に帰る。
さすがに夜中になるから、とても寒かった。