それからというもの、両者一歩も引かず、攻防戦が続いていた。




あの手この手と仕掛けていた洋輔も、1ヶ月経っても変わらない状況に苛立ちを覚えていた。









「っち……」

「まぁ、そんなに苛つくなって」

「仕方ないだろう?状況が全く変わらない。どんな手を使っても、藤堂氏は首を縦に振らない」

「まぁ、確かにな。こっちがどんなに良い条件を提示しても、藤堂氏はOKを出さないだなんてな…」

「くそっ!」

「…諦めるのか?」

「あぁ?!んなわけねーだろう?」

「それでこそ、長谷川洋輔だよ。思い通りにならないからって、んな弱気になってんなよ!」

「…悪い…」

「そんな洋輔くんに朗報です」

「んだよ、ニヤニヤして気持ち悪いな…」








不気味な圭人の笑顔に、洋輔はそのまま悪態をついた。
しかし、機嫌が良いのか、圭人は洋輔の言葉を気にすることなく、話を続けた。