それから一週間後、洋輔は次の手を打った。
何と、ジュエリーショップcloverの株を洋輔が買いはじめたのであった。
勿論、その状況に、徹也だけでなく、秘書の田中も気付いた。
「社長…失礼します」
「あぁ…田中か…」
「至急、お耳に入れておきたい情報が…」
「長谷川社長が仕掛けて来たんだろう?」
「…ご存知でしたか…」
「あぁ。それで彼はどのくらいの株を保有しているんだね?」
「現時点ではまだ3分の1には満たしておりませんが、時間の問題かと…」
「そうか…一週間でそれだけを集めるとは、流石だな。こちらも手を打たなければならないな」
「承知しました。直ぐに手配します。それと…長谷川社長について調べたのですが…」
「あぁ、どうだった?」
「何やら最近、欲しい物が見つかったとかで、何が何でも手に入れると周りに言っているようです。しかし、調べてもこれ以上の情報は出て来ませんでした。申し訳ありません」
「いや、良いさ。よく調べてくれた。きっとその欲しい物というのが、我が社なんだろう」
「多分そうではないかと…」
「何故こんなちっぽけな会社が欲しいんだか、彼の気が知れないな」
「何か理由があるのでしょうか?」
「理由?」
田中の言葉に、徹也は頭を傾けた。