「ま、まぁ、洋輔が初めて心からほしいと思った女の子だし、どんなことをしてでも、手に入れるんだろう?」
「あぁ、勿論」
そう言った洋輔の顔は、獲物を狙った野獣のような、ハンターの目をしていた。
そんな眼差しの洋輔に、同性である圭人も驚いていた。
「俺…絶対お前だけは敵に回したくない…」
「ふん…言ってろ…。それより、圭人。次はこの手で行く」
「ん?何だって?」
そう言いながら圭人は、洋輔に渡された紙を見た。
そこには、これからの計画が事細かに記されていた。
「ふーん。これで上手く行くのか?」
「まぁ、五分五分って所だろうな」
「…珍しいな。お前がそんなに弱気だなんて…」
「それ程、藤堂氏はやり手だってことだよ」
「仕方ない。お前の為に、俺も一肌脱ぎますか」
「悪いな、圭人」
「良いってことよ。じゃぁ、俺は藤堂氏について情報収集してきますかね」
「頼んだ」
圭人は手をヒラヒラと振ると、社長室を後にした。
これから長谷川洋輔と藤堂徹也のどちらとも譲らない戦いが始まろうとしていることに、洋輔はワクワクした表情で目を瞑っていた。