「ありがとう。お前にそう言ってもらえて、嬉しいよ」

「私は自分の考えを述べたまでです」

「長谷川社長には断りの電話を入れるとしよう。まぁ、彼が簡単に諦めてくれるとは思わないがな…」

「そうですね。…少し、長谷川グループについて調べて見ましょうか?」

「あぁ。きっとこの業務提携を提案してきたのにも、何か意図があってのことだろう。だが、あの長谷川洋輔はきっと一筋縄じゃいかないだろうな。調べたとしても、情報は何も出てこないだろう」

「しかし…」

「何れ時が来たら、彼の目論見もわかることだろう」

「ですが…」

「時の流れに身を任せるとしよう。まぁ、それでこの会社が潰れるようであれば、運命としか言いようがないだろう…」

「社長…」

「勿論、彼の思惑通りになるつもりはないがな」

「…わかりました。社長がそこまで言うのであれば…。しかし、念のため長谷川グループと社長について調べて見ます」








渋々納得せざる負えなかった田中。
そんな田中の気持ちにも気付きながらも、徹也は何も言わなかった。