「安心してください。私はお嬢様の意に反することは致しません。勿論、社長にも言いません」

「…田中さんって何処まで知っているんですか?」

「さぁ、どうでしょう。少なくとも、お嬢様が小さい頃の夢を叶えるために、仕事終わりに学校に通っていること、長谷川グループの社長とお付き合いを始められた…ということは知っています」

「!」








田中の言葉に、美優は更に驚いていた。









「何か間違っていましたか?」

「……間違っていないです。何処から仕入れてくるんですか?その情報…」

「さぁ、それは企業秘密とでも言っておきましょうか」

「そうですか…」

「はい」

「父は何処まで知っているんですか?」

「ご安心を。社長は習い事をしているのは知っていますが、何のかまでは知りません。長谷川社長のことも薄々は勘付いているようですが、確信までには至っていないようです」

「そうですか…」








まさか父親である徹也だけでなく、田中にも勘付かれていたとは思いもよらず、美優は頭を抱えたくなっていた。
そして、洋輔と付き合っていることが知られるのも、そう遠くない日であろうと予期していた。




徹也の性格上、きっと反対するだろうと、美優はこれからのことを思うと、頭が痛くなってきたのであった。