勿論、そんなことを徹也が思っているだなんて露も知らない田中は、早速長谷川グループに電話を掛け、アポイントを取っていた。


電話が終わる頃になると、外出をしていた美優がタイミング良く戻ってきた。









「お帰りなさい」

「只今戻りました。…もしかして、今夜は接待ですか?」

「えぇ。ですが、美優さんは定時で帰っていただいて大丈夫です」

「でも…」

「今日は習い事の日ですよね?行かなければ夢の実現が遠のいてしまいますよ?」

「何でそれを…。両親にも伝えていないのに…」

「社長やお嬢様のことで知らないことはありません」








田中のその言葉に、本当に全てを知っていそうな様子に、美優は怖くなってしまった。
そんな美優の様子に、田中はクスリと笑っていた。