小説の内容は極普通の恋愛小説だった。
だけど悲恋系で、ところどころ感情移入してしまいそうに書いてある文章を真剣に読んでいたら、読み終わった頃には18:30。


一回読むだけでなくお気に入りのシーンを自分の中で決めたり、男性女性側の気持ちを考えていたらいつの間にか読み込んでしまうくせがある。


閉館は19:00。あと30分しかない
ふっと彼は帰ったかとみたら、勉強に疲れたらしく寝ていた


「…長谷さん、彼、寝てますよ」

カウンターに本を渡しながら、一応長谷さんに報告。

「ん?あー、信条くんかぁ」

「知ってるんですか?」

「高校時代からよーく知ってるよ。あ、澪音ちゃん起こしてあげてくれる?」

「え、あ、はい」


信条と言うらしいその彼のそばにより、肩をトントン、としたらすんなり彼は頭を上げた。


「あの、閉館もうすぐですよ」


そっと話しかけると彼は、寝るために外したらしき眼鏡をかけわたしに顔を向ける