…が、珍しく今日は先客がいた。

なにやら紙とペンと共に本を、真剣な眼差しで見ている男性。

…大学生さん、かな。

入り口からほんの近いカウンター席で勉強するその内容はどうやら音楽の勉強らしく。
必死に音符を読んでいるのがわかる。

近所にある音大の生徒さんかと思ったけれど、音符を数えて読むあたり、音大生ではないな〜と思う。


なぜならわたしが来月からそこの音大生だから。あそこの音大生ならおそらく、音符はパッと読めるはず。


……となんでこんなに彼を観察してるんだ


ひとりツッコミつつ彼から離れた席に座り、長谷さんからのおすすめを読み出した。