「お〜、澪音ちゃん今日も来たの?」

「こんにちは、長谷さん。」


図書館に入れば館長の長谷さんが、何時ものように植木に水をあげたり、本を整理していて、もうばっちり常連のわたしは名前まで覚えられてしまっている。


「今日も恋愛小説?」

「おすすめあります?」

「そうだなぁ」


『今日も』そういわれるほど毎日、わたしが読むのは恋愛小説しかない。

なぜだかわからないけど、恋愛小説ほど楽しい読み物はないとおもってる。
ドキドキしたりキュンキュンしたり…実際にリアルでしたことはないけど。


「あー、これは?」

「ありがとうございます〜」


長谷さんが出してきたのは少し分厚めの恋愛小説。読み応えありそう。

カウンターをよそ目に、奥にある読書スペースに進む。

みんな借りてから家で読んだりするから、普段なかなか人がいなくて、わたしにとっては快適な場所。