「莉緒ちゃん!お待たせっ。
んっ?どうした?」
「えっ…ううん!何でもない…」
私は慌ててさっきの写真を隠した。
「あっ…」
橘さんが私にゆっくりと近づいてくる。
「えっ!?」
もしかして…バレた?!
「莉緒ちゃん…」
「な…何っ!?」
「今さ……」
「今…?」
「敬語じゃなかったよねっ!?」
「はいっ!?」
そ…そこ!?
「うん!そのほうが俺も嬉しい!ずっと言おうと思ってたんだけどね?敬語白々しいから,これからはタメでよろしく♪」
橘さんは気付いてないらしく
笑顔で話続けた。
私の手にはさっきの写真が隠されたままで
この手の中には
私の知らない,橘さんの過去を握ってしまった気がした。