「あ…えと…」


私は急な出来事に電源を切ってしまった。


「連絡しようと思って電話したんだけど…話し中だったから。」


と言って橘さんは家の鍵をチャリンと鳴らした。


「先に鍵開けちゃった。」


橘さんはにこっと笑った。


けど…違う。


今の笑顔は…悲しげな瞳だった。

さっきの話,聞かれてたんだ…


「橘さん…あの…」


そう言おうとすると


「やり直したいって…」


「え…?」


「美咲が…やり直したいって…言ったんだよ…」


橘さんは私の目を見ず


独り言のようにつぶやいた。