私はなにも言えずただ地面を見つめてた。


街灯に照らされた私たちの影が延びている。


自分の中で時間が止まってしまった。


「あ…ごめんなさい。急に…。」


美咲さんはその場を去ろうとした。


「待って……ください…!」


「えっ…?」


あぁ私…


何で呼び止めたりしたんだろう。

考えとは逆に


私は口を開いた。


「知ってます。橘さんのこと…知ってます。」


私は地面に落としていた目を
ゆっくり美咲さんへと向けた。