何も言えなかった。

―好きじゃなくなったら,すぐに違う彼女と付き合うの?

―私の何がいけなかったの?

―別れたくないよ。


こんな気持ちとは裏腹に
出た言葉は


「…そっか。わかった。」


だった。


「宮崎はさ,俺よりもっと良い人がいるって!」


―なんで?私が好きなのは優真なんだよ?


「優真…私――っ!」


――別れたくないよ。



♪〜♪〜♪〜


二人の時間を割くように
優真の携帯の着うたが鳴り響いた。

ディスプレイには《田辺由美》の文字。


「ごめん…俺もう行かなきゃ。
じゃあ,気をつけて帰れよ。」


そんな言葉を残して
大好きだった人はいなくなってしまった。