優真の栗色の髪が風に揺れて
気持ち良さそうにあくびをした。
う〜んと背伸びをした瞬間,私と目が合う。


「あ……」

「宮崎,こっちきて?」


私の為にちょこんとベンチの左側によった。
こんなちょっとのことでどきどきする私はバカかな?


優真の優しさが悔しくって
――ううん,嬉しくって
思わず涙が出そうになった。



しばらくお互いは何も言わずにベンチの近くにあるテニスコートを見つめていた。


パコーン,パコーンとテニスボールの弾ける音だけが時間の経過を知らせてる。