「どうした,どうした?莉緒ちゃん今日甘えん坊だなぁ〜♪すぐ戻るから…?」
私は何も言えずただ橘さんの顔を見つめた。
「莉緒ちゃんどうしたの?何か今日いつもよりすごい心配そうな顔ばっかり。」
橘さんは私の目線まで体をかがめ優しく微笑んだ。
「何かあった?言ってみ?」
またその優しさに甘えちゃいそうだから
私は首を横に振った。
違うの。橘さん。
上手く言えないけど…
なんか…
「ツトム…?いるか?」
ドアの向こうから知らない男の人の声。
誰だろ……
でも橘さんは何も反応しない。
「橘さん…誰か呼んで…」
――橘さん…?
橘さんはすごい強ばった表情をしてた。
まるで…何かに怯えているような…
それでわかったんだ。
ドアの向こうの男の人は
――広樹さんだ。