汗でベタついていた身体を昼間から贅沢に風呂に入って汗を流した。
綺麗になった部屋のど真ん中で肩肘立てて寝転がり、そよそよと吹き込んでくる秋の風の心地よさにうとうととしてしまう。
───コクン……コクン。
「なあなあ、矢央~腹減ったんだけど、なんか食いもんねぇか?」
……この声は原田か?
「ん~、確かお煎餅があったような?」
「煎餅か。 もっとがっつりしたもんがいいんだけどな」
「もうすぐ夕餉なんですから、それで我慢したらどうですか?」
……矢央の言う通りだぜ。って、そもそもその煎餅は確か俺の買い置きしておいたやつじゃねぇのか?
「あ、矢央ちゃんいたいた! さっきさ土方さんにこっぴどくやられて打ち身が酷いんだけど、手当てしてくんねぇ?」
「ええ~、私これから洗濯物を取り込むつもりなのにぃ。 山崎さんは?」
「え……いや、さあ?」
くっくっ。藤堂の野郎、はなから山崎のことは頭になかったんだろうな。
鈍感な矢央のこと、藤堂も大変だろうよ。
「矢央、肩凝った。なんだあの……まっさーじ?とか言うやつしてくれ」
今度は永倉か。
なんだ、そのまっさーじとやらは。
気になって、なかなか寝れねぇじゃねぇかよ。