京の冬は寒い。
もう見える範囲は銀色の世界に覆われていて、猫はコタツで丸くなる季節だなと思いながら、庭に目を向けた。
斎藤さんだ。朝早くから一人稽古かあ。
「斎藤さんは、犬だね犬」
そんなことを呟きながら大量の洗濯物を干すため庭に降りると、上からも下からも寒さに襲われぞわそわと鳥肌が立った。
パシン、パシン。
……これ、洗濯物が固まりそう。
「おお、矢央!毎日ご苦労さん!!」
「あ、おはようございます。原田さんに、永倉さん」
この二人は昨夜遅くまで飲み明かしていたらしく、朝餉の時殆ど寝てた。
原田の方は、もうすっかりいつも通りそうだったが、永倉はまだ眠いのか立ったまま舟を漕ぐという器用さを見せつけている。
「原田さーん、永倉さんって器用ですよね」
「ん?ああ、おいいつまで寝てるんだ新八」
「……んあ?あれ、矢央なにしてんだ?」
漸く起きたか。
「おはようございます。なにって洗濯干してるんです」
見ればわかるだろう。こっちは寒さでカチンコチンだ。