「ねぇ文也くん?」



甘い声で俺に話しかけるのは彼女の千秋



「なに?」



嬉しくもないので冷たく返す



「冷たすぎ〜!そんなに皆川さんの噂流したの気に入らなかった?」




うぜぇ…



柚葉はこいつを“いい子”だと思ってるみてーだけど、実際は違う



綺麗な女の皮を被った悪魔だ



あの時…柚葉に浮気現場を見せた時だって、柚葉が怒ればそれで終わったのに



心にもねぇこと言っちまって



次の日学校に行けば、ありもしねぇ噂が流れてるし




こいつが流した噂のせいで、呆気なく柚葉を奪われた



今では、憎くてたまらねぇこの女を睨む



「これでも悪いと思ってるんだよ?そんなに睨まないでよ~」



悪びれもなく猫なで声を出しながら俺に擦り寄る