「あるわけねーだろ……」

 放課後、学校の図書室でぼやく俺。

 決議案にかけられた『呪いの着メロ』は見事に通ってしまい、俺達の班のグループ研究課題はとんだオカルトの道に突き進んでしまった。

 あの霧谷が手を上げるとは予想外中の予想外だった。

 いや、あの後、すぐに鞄から本を取り出したところをみると、さっさと終わらして、読みたかったのかもしれないな。

 そして、放課後、図書室で何か『呪いの着メロ』に関するものを探そうという運びになったわけだ。

「あはは。調べ物といったらやっぱりここかなって思うけど、中々ないよね?」

 パラパラと動物図鑑を流し読みするあたり、康介もやる気があるのかないのか……

「つーかよ、『呪いの着メロ』って、明らかに最近のネタだろ? そんなもんが古い本しかない学校の図書室なんかに資料があるわけないだろうが!」

「あ、そうだよね!」

 今頃、気づいたのかよ。

「三嶋さーーん、あのさーー!」

 康介が奥の方に行っている三嶋と霧谷を呼びに行った。前から知っていたけど天然だね。

 康介に呼ばれて三嶋と霧谷がやって来た。しかも霧谷は両手に大量の本を積み上げてやがる。どれも分厚くて小難しそうで、見るだけで良い睡眠薬になりそうだ。

「もう、そういうことは早く言いなさいよね!」

「そういうことは早く気づけ。図書室を調べるより、そういうのは噂の方が出回ってんじゃね? お前もそこから聞いたんだろ?」

「あー、そうね。私の従兄弟の友達のお姉さんの又従兄弟の……」

「………三嶋、本当に『呪いの着メロ』なんてもんあるんだろうな?」

「あるわよ!」

 そこは断言するんだな。

「まぁ、今日はここまでにして、続きは明日にしよう。明々後日にHRの時間があるから、それまで各自で調査するってのは?」

「うん、いいねそれ! 笹川くん、班長くんより班長っぽい♪」

 悪かったな、統率力なくて。

「んじゃ、今日はこれで解散。霧谷、だからそれいらないから返してこいよ」

「………いい、これは私が個人的に借りるもの」

 マジかよ。