まぁ、俺の偏見だけどさ。

 でも、康介に声を掛けられても無表情に顔を向ける霧谷って、やっぱり変わっているかも……。普通、少しはビクッてなるだろうに。

「ねぇ、どうかな?」

「……ないわ」

 短く告げてまた窓のほうへ向く霧谷。どうやら終了らしい。


 おいおい、大丈夫かこの班?

 早くも暗礁に乗り上げているぜ。

「ん~、じゃあ、この『呪いの着メロ』ってのを本格的に調べてみようか?」

「本気かよ?」

 引き返すなら今だぜ? 康介。

「他にないんじゃ仕方ないよ。それとも、何かある?」

 そう問われても俺の引き出しなどたかが知れている。おおよそ思いつくものは恐らく他の班と被る可能性が高い。それは致命的だ。

「ないでしょ? んじゃ、『呪いの着メロ』に決まりっ! イエーイ!」

「イエーイ! じゃねぇよ、三嶋。勝手に決定案にすんな!」

「もぅ、文句ばっかぁ! それじゃあ、多数決にしましょ! 民主主義に則った一番の方法よ! それがダメっていうんなら、この班は班長くんの独裁国家ね!」

 ぐっ、おのれ……三嶋にしてはまともなことを言いやがる。

 まぁ、この班は偶数だ。康介と三嶋が『呪いの着メロ』に賛成しても、俺と霧谷が反対すればドローでまた保留となるさ。

「それでは、この班のグループ研究発表は『呪いの着メロ』でいいと思う人、手を上げて!」

 三嶋の声かけで決議案がかけられた。