「ねぇ、『呪いの着信音』って知ってる? 午前零時丁度に鳴った着信音に出ちゃうと………大変なことになっちゃうんだって!」

「大変なことって、なんだよ?」

 訳分からん、と、当然の疑問を俺は嬉しそうに顔を覗きこんでいる三嶋 恭華(みしま きょうか)に投げ掛ける。

「さぁね~? それが分かんないから怖いの! ね? 良くない?」

「………分からんのなら使えん。没だ」

「えぇーー!」

 身を乗り出して、ますます顔を近づけてくる三嶋。唾まで散らしてきやがって、正直うざい。

「まぁまぁ、とりあえず保留ってことでどうかな?」

 笹川 康介(ささがわ こうすけ)がそう提案すると、三嶋の顔が笑顔に早変わりした。

「あのなぁ、どっから聞いた話だけじゃダメなんだよ! グループ研究なんだから、ちゃんと検証しなきゃダメなんだ!」

「でも、どうせ他に案がない内は保留にしとこうよ。それに面白いじゃない。『呪いの歌』や『呪いのビデオ』の次は『呪いの着信音』だよ!何か時代を感じる
よね?」

「でしょ!」

 やべ、康介と三嶋が何か意気投合しやがった。ここで強引に没を押しきったら班長の俺の立場が危うくなる。

「わぁったよ。じゃ、保留ってことで」

「ありがと!」

 三嶋がウインクした。俺じゃなくて康介にだ。