ー健夫サイドー

天がキスした場所に触れる…


天…
お前はどうしてそんなに優しいんだ


きっと、俺が気にしてると思って
わざと、このアホの前でしてくれたんだ


頬に軽く触れるだけのキスだったけど

大丈夫だよ!って言ってるような
優しいキスだった。

本当はこういうの嫌がる奴なのに


人前でくっつくのも
恥ずかしいって嫌がる奴なのに
俺の事を考えてくれたキスなんだ


確かに、俺はこのアホの
言う通り独占欲の塊だ。


天の事を憧れてこっそりと見る
野郎どもの目線にですら
イライラするくらいだから


このアホの言う事は
正気でいられなくなるほど
腹立たしい


でも態度で示してくれた

このアホにちょっとでも思わせぶりな
態度を取っていたら
俺はこのアホを殴り倒して
天を連れて帰って囲ったかもしれない


だけど、天はそうしなかった

このアホを見る目は
なんの感情も感じられなかった。


天は俺を選んでくれたんだ。

これからも色々あるだろうし
そのたんびに俺は妬くんだろうけど


心の底で繋がってられる。

物心ついた頃から俺には天だけだったから

やっと手に入れた今も不安でたまらない


長年幼馴染として
嫌われながらも一緒に居続けたから
きっと誰よりも俺の事をわかってるんだ


俺も天の事はよく知ってるつもりだ


天はいつだって、中途半端な態度は
取らない

だから俺は天を信じよう



「なにか、悟ったような態度だな!
井上健夫…
確かに俺は天ちゃんと付き合ってたけど あんな天ちゃんは見たことない。
お前みたいな奴がテンちゃんの幼馴染だったなんてな……
でも、テンちゃんはお前の事を
そのムカつくくらい整った顔で選んだわけじゃなさそうだ。
悔しいけど、今は俺の出る幕はナシだ。
でも、俺はテンちゃんの事一切引くつもりはないからな!
あんなテンちゃんが見られたんだから
余計に引けない。
鉄の女と言われるくらい感情を表に出さないテンちゃんは
きちんと相手の事を考えて行動してる子なんだ。
きっと、俺と付き合ってる時もきちんと向き合ってくれてたんだ。
でも、そこに俺は気がつけなかった。
テンちゃんと俺では釣り合ってないんじゃないかと不安もあったから
信じようと出来なかった。
でも今後もしテンちゃんを泣かすような事があったら、その時はどんな手段を使ってでも俺はテンちゃんを自分の腕に閉じこめる。
俺は、櫻井祐介だ。
お前と同じ医学部2年。
ムカつくけど、今は休戦だ。
よろしく」


と言って手を出してきた


俺はその手をパシンと払いのけた
「天は俺のだ。泣かしたとしても俺は天 を離さない。お前が天の事を考えてるだけでムカつく。
でも天の愛が俺にあるから許す。
けどな、お前いい奴だな!
俺は仮に天がお前を好きだったとしても
絶対にやらないぜ(笑)
だって、天がお前を好きな気持ちよりも俺が天を愛する気持ちのが遥かに上だからな!20年越しの愛だからな!年期が違うっつうの!(笑)」


祐介が呆れたような顔して俺を見て笑った

俺もニヤッと笑った。


「あっ!やべぇよ!健夫!!
授業!!!」


お!やべぇ!!
帰国して初めての授業が遅刻とかまずいだろ!


「祐介!!急ごうか!!」


2人は同じ女を愛する者同士なのか?
急に意気投合して教室までの道を走って進んだ。


イケメン2人が廊下を走る姿は
女の子たちを釘付けにした。


ーー健夫サイドおわりーー