《ましろside》
体育の時間。
サッカーだった。

わたしはバスケやってるから体育は基本得意だけど。

サッカーだけはできなかった。

翔がボール運んでる。

得意なんだなぁ。

そんなことを考えてみてた。

「ねぇー、ましろちゃん!」

「ひなちゃん。どうしたの?」

中田 雛(ナカタ ヒナ)

兄が近所で名前の上がるヤンキーってやつ。
クラスでも評判が悪く、逆らう人もいない。
番長ってやつだ。

「翔ってかっこよくない!?ウチまぢ好きなんやけど♡ねぇ、きょーりょくしてよ?」

逆らったら何かされそう…。
それが怖かった。

「出来る限りなら…!」

「ましろちゃーん‼︎大好き‼︎ウチがんばる!」

あぁ。私は人のことばっかりで自分の思いなんて伝えられないんだ。

こんな私のこと翔も見てくれないよね。


ジリジリと私を照らしつける太陽が急に隠れて雨が降ってきた。

わたしの思いみたい。

私には恋愛なんてできないのかもしれない。

.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・
あれからしばらく経って。

「翔ぉ~‼︎なんでそんなに頭いいのぉ?」

雛は積極的。

翔にアタックしまくり。

それでも表情一つ変えない翔。

すごいなぁ。


「ねぇ。ウチのこと好きになってみない?」

えっ?雛?

「は?」

さすがの翔も戸惑う。

「だぁかぁらぁ。
ウチは翔のこと好きなの。」

これって。告白じゃん?

翔、OKするのかな。

目の前でOKなんて、辛すぎる。

見てらんない。

ガタッ

「夢、トイレいこ?」

「え?うん!」

とにかくあそこにいたくなかった。

なんでだろう。


雛は何も悪くない。

翔も悪くない。

なにがこんなに私をイライラさせてんの?


ドキドキさせてるの?

「ましろ?急にどうしたの?」

「夢…、わたし…わたし…ヤキモチ妬いてるのかもしれない…。」

オロオロする私に夢は
「ましろ。ずいぶんとかわいーこと言うじゃん!大丈夫だよ。翔はきっと雛なんかと付き合わないよ。」

…ホッ。

って、なんで安心してんの私!

教室もどんなきゃ!

「夢、もどろっ。」

「うん!」

ガラッ

教室に入るといつも通りの雰囲気で安心した。

翔はなんてこたえたんだろ。

翔も雛のこと好きなのかなぁ。


や、やだ私ったら、なんでこんなこと考えてんの‼︎

「なにやってんのお前。」

翔が呆れたような顔して聞いてくる。

「べっつに!?」

「あっそ。」

いえるかっつの。

いってたまるか。

はぁ。今日は早く帰って寝よ。






「ただーいま。」

「あらぁー、おかえり。今日は早いんじゃない?何かあったの?」
さすがおかーさん。
わかるのかなぁ。

「いやなにもないよ。ただ疲れたから寝たいだけ。」

「そー、なら良いんだけど…。」

おかーさんって、なんでわかるんだろうね。

いつも思う。


はぁ。
もうねよ。

私は色々済ませた後。

ベットに飛び込んだ。