「野田くん!野田くんってば!」


人で溢れかえった廊下をくぐり抜け
野田くんはどんどん前へ進んでいく

人混みを抜け私はやっとの思いで
野田くんにたどり着いた


「ちょっと待って野田くん!」


「悪ぃ、ちょっと1人にさせて
俺いま傷心中だから」


「ごっ、ごめん…」


「謝られると余計しんどいなー…まじで」


そうだよ、私なにやってんの
自分から振ったくせに追いかけるなんて
むしろ大神くんを
追いかけなきゃいけないのに


「あいつのとこ行けよ。待ってんだろ」


「うっ、うん…」


私が一瞬目を逸らしたそのとき
野田くんは急に距離を詰めてきて


「っ!」


「行かねーなら
いま無理矢理でもお前を奪うぞ」