「……もしかして、京香さん?」


……絶対そうだ。

さっきもあたしたち二人のことなんか誤解してるようなこと言ってたし。


「そ。“ココちゃんが一人で寂しいから迎えに来いって言ってる”って」

「あたし、そんなこと言ってないんだけど……!」

「……わかってる。ココがそんな可愛いこと言ってたら今頃外は嵐だよ。それより俺腹減ったからどっかでなんか食べよーよ」

「…………遠慮しとく」

「なんで?」


だって、カナコのためにもあんまり二人でどこかに行くって言うの、これからはあまりしない方が……

っていうか、今まで二人は一緒にいたんだよね。

告白の件はどうなったんだろう……


「……カナコは?」


ぼそりと尋ねると、真咲は首を傾げる。


「部活行ったけど?」

「じゃなくて……その……」


付き合ってるの? とストレートに聞いてみればいいものの、なかなか言葉が出ない。

そんなあたしを見て、真咲はふっと微笑む。


「……ココの聞きたいことはなんとなくわかるよ。でも、歩きながら話そ。京香さんが聞き耳立ててたら恥ずいから」


……聞き耳?

あたしが不思議に思うのと同時に、カウンターの奥がカタンと音を立てた。

そして姿を現したのは、ばつが悪そうに舌を出す京香さん。