私は走って走って走り続けた。
 
 
何かを得る為には代償が必ず伴うものだ。
 
 
私は自分が生きることの代わりに友達を失った。
目の前で死んだ親友の重みが今でも腕の中に残る。
 
 
死にたい。
でも私には死んでも尚あのゲームに参加する絶対に逃げられない恐怖に追いかけ続けられている。
 
 
 
パパとママはああ言ってくれたけど私にはやっぱり無理だよ。
 
 
なんであんなに強いの?
私も強くなりたいよ…
みんなを守れるぐらい強くなりたいよ。
 
 
私は恐怖と言う2文字の前ではなんの抵抗もできずただ見ていることしかできなかった。
 
 
怖い。助けてよ誰か…。
 
 
「新庄…?こんなとこでどうしたんだよ…」
 
 
「えっ…。」
 
 
私は涙を拭いてよく周りを見た。
 
よく見るとそこには澤田と書かれた表式と見たことがある家があった。
 
 
「お前こんなとこまで何で来たんだよ…。
 
 
しかも何泣いてんだよ。」
 
 
 
私は知らず知らずのうちに何キロも離れた澤田の家まで走って来ていた。
ここに私は救いを求めて来たのかはわからないが足が勝手にここに導いていた。
 
 
「さ、澤田…。
 
 
私やっぱり怖いよ。あんたも見たんでしょあの夢…死ぬんだよ。生き返れないかもしれないだよ。
 
 
私それを考えただけで怖くて怖くて、もう私生きたくないよ。考えるのも生きるのも辛いよ。」
 
 
 
「新庄…。
 
 
そうだよな…。俺も怖いか怖くないかって聞かれたらそりゃ怖いよ…。でも昨日お前が言ってくれたじゃねぇか。
男ならしっかりしろって。
 
だから俺はお前を守ってやる。
1人じゃないからもう泣くなよ。」
 
 
澤田は私の頭をポンポンと叩き軽く抱き寄せてくれた。
 
 
「1人で抱え込むな。参加するのは俺も一緒だろ。
 
だから死ぬ時も生き返る時も俺らは一緒だ。俺はお前みたいなおっちょこちょいなやつおいて先に死なねえょよ。」
 
 
ありがとう澤田…。
声に出すことはできなかったけど私は澤田の存在に心から安心した。
そして何より1人じゃないとわかった私はさっきより心の中にあるものが軽くなった気がした。